貴社にM&Aは本当に必要でしょうか?(続)

M&A成功のポイントの一つに「経営戦略と整合が取れていること」があります。 (余談ですが、弊社「B. アライン」の「アライン」は「整合を取る」の意味です。)

成長戦略(経営戦略)を立案する際には、

1.企業全体の事業ポートフォリオを今後どうしていくか、どの事業を強化・拡大していくか、

2.事業戦略においてどの市場や製品を強化・拡大していくか、どのような市場ポジションを目指すか、どんな経営資源を強化していくか、

3.それらの強化・拡大実現に必要な経営資源が不足する場合、どんな方法で(既存資源の育成、人材採用、外部企業との業務提携、M&A、他)資源を獲得するのが適切か、

を検討することになります。結果的に戦略の実行施策としてM&Aを選択する場合には、M&Aの狙いやターゲット企業の選定基準、候補企業リスト、等を考えることになります。

では成長戦略を立案する時に、M&Aを実行施策の一選択肢として含める利点は何でしょうか。それは既存の経営資源の制約に囚われずに広い視野で戦略を検討できることです。既存資源を前提にすると新市場や新製品、新事業に踏み出しにくくなりがちです。

経営戦略の検討段階で「何を実現するのか」を忘れず、「M&Aを選択肢として排除せず、M&Aありきにもならない」ことが肝要です。

貴社にM&Aは本当に必要でしょうか?

コロナ禍等の影響で事業再構築について検討・実行している企業が多数あります。また多くの企業が再構築分野として新規事業・多角化を検討・実行しています。

既存事業の強化や事業の多角化を実現するためにM&Aを検討されている経営者もいらっしゃると思います。皆さんは金融機関やその他のステークホルダーに「なぜM&Aを選ぶのか」質問された時にステークホルダーを納得させる回答ができるでしょうか。

M&Aは企業/事業目標を達成する戦略の実行施策の1つであり、他の選択肢と比較して検討するべきです。つまり「M&Aを実現すること」ではなく、「M&A実現後、当初描いた目標を達成すること」が本来の目的のはずです。

M&Aで実現する狙いは何でしょうか。M&A後にその狙いをどう実現するのかイメージは明確でしょうか。

「どんな企業を買うか」を検討する前にもう一度、企業の目標や戦略を見直してはいかがでしょうか。