前回(7月)のコラムで「注力する顧客・市場」と「強み(顧客から選ばれる理由)」、「保有する(強みを支える)資産」の三つの一貫性が大切であることに触れました。今回は「注力する顧客・市場」を検討する時に頭の中を整理しやすくする4つの型についてです。
<1>水平統合型
現在の顧客と同じタイプの顧客を対象にして、新しい製品を投入する。
例:FAセンサーメーカーがIoT事業を拡大するためFAコントローラー製造に進出する。
<2>垂直統合型
現在の製品のバリューチェーン上の川上や川下に展開する。
例:電機部品メーカーが事業継続性と付加価値の向上を狙い、自社製品を多く組み込む生産用機械製造に進出する。
6月のコラムで紹介した木材加工会社が木製家具の製造から撤退し、従来から製造している神棚に特化して個人向け、特に女性をターゲットにECを活用して市場を開拓した例はこの型に該当します。
<3>集約(集中)的多角化
現在の製品・技術やマーケティングの一方に関連がある新製品を、新たな市場に投入する。
例:和菓子の製造会社が材料の発酵技術を活用して洋菓子製造に進出する。
<4>集成的多角化
現在の製品と既存の市場の両方に関連がない中で、新製品を新しい市場に投入する。
例:半導体関連メーカーが地元で経営破綻した醸造会社を買収しアルコール飲料製造に進出する。
「注力する顧客・市場」の選択によっては、これまで認識していた「強み(顧客から選ばれる理由)」、「保有する(強みを支える)資産」を合わせて再検討することが必要です。最近の東京商工リサーチのサイトでも成長と資産に関連する記事が掲載されています。(https://www.tsrnet.co.jp/news/analysis/20220728_02.html)
皆様は今後の事業成長に向けどのような「注力する顧客・市場」を選択されているでしょか。そしてどのようにM&Aを活用されるでしょうか。